
家を売ったら、税金っていくらかかるんだろう?
不動産の売却を考え始めたとき、多くの方がまず気になるのがお金の問題です。
とくに税金は、種類も計算方法も複雑に見えて、つい後回しにしてしまいがちです。



でも、ご安心ください。不動産売却にかかる税金は、仕組みさえ分かれば決して怖いものではありません。
しかも「3,000万円特別控除」をはじめとする節税の特例を使えば、税金がゼロになるケースも珍しくないのです。
2024年4月には相続登記の義務化がスタートし、相続した実家の売却を検討する方も増えています。
この記事では、宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー(AFP)の実務経験をもとに、不動産売却にかかる税金の全体像から具体的な計算方法、使える特例、そして「明日からできる行動」までを、わかりやすくお伝えします。
家を売ったら税金はどうなる?まず押さえたい3つのポイント


結論から言うと、不動産売却で最も大きな税金は「譲渡所得税」ですが、マイホームの売却であれば3,000万円特別控除を使って税金ゼロにできる方が大半です。まずは全体像をつかんでおきましょう。
この手続きの中で発生する税金は、大きく分けて3種類あります。
- 譲渡所得税・住民税・復興特別所得税
これは家を売って利益(もうけ)が出たときだけかかる税金です。利益が出なければ、この税金はかかりません。
しかも、マイホームの売却であれば「3,000万円特別控除」という制度を使えるため、利益が3,000万円以下なら税金はゼロになります。
不動産売却の相談現場では、この特例のおかげで「結局、税金は1円もかからなかった」という方がとても多いです。 - 印紙税
売買契約書に貼る収入印紙の代金で、売却価格に応じて数千円〜数万円程度です。
たとえば売却価格が1,000万円超〜5,000万円以下なら印紙税は2万円です。
金額が決まっているので、心配する必要はほとんどありません。 - 登録免許税
住宅ローンが残っている場合に、抵当権を抹消するための登記にかかる税金で、不動産1つにつき1,000円です。こちらも少額です。
つまり、不動産売却の税金で本当に気をつけるべきは「譲渡所得税」だけ。
そして、この譲渡所得税も、特例をうまく使えば大幅に減らせる、あるいはゼロにできるのです。



相続で実家を受け継いだ方も、空き家を早めに売却したい方も、まずは「自分に使える特例があるかどうか」を確認することが最初の一歩になります。


数字で見る「今、売却を考えるべき理由」
——公的データが示す不動産市場のリアル


結論として、不動産価格は全国的に上昇基調が続いており、「売り時」を逃さないためにも、市場動向を知ったうえで早めに動くことが大切です。
不動産価格指数が示す「住宅価格の上昇トレンド」



ご自宅の固定資産税の通知書を見て、「去年より評価額が上がっている気がする」と感じたことはありませんか。実は、その感覚は正しいのです。
国土交通省が公表している「不動産価格指数」(令和7年9月分)によると、全国の住宅総合指数は145.4となっています。
これは2010年の平均価格を100とした数字ですから、ざっくり言い換えると「15年前に比べて住宅価格は約1.5倍に上がっている」ということです。


とくに注目したいのがマンションの価格です。
区分所有マンションの指数は222.2と、2010年の2倍以上に跳ね上がっています。
一方、戸建住宅は118.6、住宅地は120.7と、マンションほどの急騰ではないものの、着実に上昇を続けています。
つまり、「うちは古い一戸建てだから値段なんてつかないだろう」と思っている方でも、土地の価値が上がっているおかげで、想像以上の査定額が出ることがあるのです。



実際に売却を経験された方からは「思ったより高く売れて驚いた」という声をいただくことも少なくありません。
令和7年地価公示——全国の地価は4年連続で上昇中
もう少し身近なデータを見てみましょう。
国土交通省の「令和7年地価公示」(2025年1月1日時点)では、全国の全用途平均地価が4年連続で上昇し、上昇率も年々拡大しています。
住宅地についても上昇が続いており、三大都市圏(東京圏・大阪圏・名古屋圏)では上昇率がさらに加速しています。


たとえば、ご近所で「売物件」の看板が立っている家を見かけたことはないでしょうか。
あの看板に書かれた価格は、数年前と比べて高くなっている可能性があります。
とくに東京圏では住宅地の上昇率が顕著で、23区すべてで地価が上昇しました。
地方圏でも全用途平均が上昇を続けており、「都会だけの話」ではなくなってきています。



この上昇トレンドがいつまで続くかは誰にも分かりません。
だからこそ、「売却を考えているなら、まずは今の相場を知っておく」ことが大切なのです。
900万戸を突破した空き家——放置のリスクと早めの行動のメリット
もうひとつ、売却を検討する方にぜひ知っていただきたいデータがあります。
総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」(2023年10月時点)によると、全国の空き家数は約900万戸、空き家率は13.8%と、いずれも過去最高を更新しました。
30年前の1993年と比べると、空き家の数はおよそ2倍に膨らんでいます。


この数字を日常に置き換えてみましょう。
ご近所の住宅街を歩いたとき、7〜8軒に1軒は空き家という計算です。
そして、賃貸や売却の予定がなく放置されている空き家は約385万戸にのぼります。



空き家を放置すると、固定資産税の負担はもちろん、草木の繁茂やご近所からの苦情、防犯上の不安など、目に見えないコストがどんどん積み重なっていきます。
さらに、2023年12月に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」の改正により、管理が不十分な空き家は「管理不全空家」として市区町村からの指導・勧告の対象となり、固定資産税の優遇(住宅用地の特例)が外れる可能性が出てきました。
つまり、これまで軽減されていた固定資産税が最大で6倍になるリスクがあるのです。
空き家に対する措置の流れ





「売るかどうかまだ決めていない」という段階でも構いません。
早めに査定だけでも受けておくと、「今の価値」が分かり、判断材料が一つ増えます。
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「結局いくら払うの?」不動産売却の税金の計算方法と節税特例を徹底解説


結論として、税金の計算は「売却価格 − 取得費 − 譲渡費用 = 譲渡所得」というシンプルな引き算が基本です。
ここに特例を適用すれば、多くの方は税負担をゼロまたは大幅に軽減できます。
譲渡所得の計算方法——「もうけ」が出たかどうかがすべてのスタート
譲渡所得とは、不動産を売って得た「もうけ(利益)」のことです。計算式はこうなります。


「取得費」とは、その不動産を買ったときの代金や、購入時にかかった仲介手数料・登録免許税などの合計です。
建物については、年数が経つと価値が下がる分(これを「減価償却費」といいます)を差し引く必要があります。
たとえば、木造住宅を2,000万円で建てて20年住んだ場合、減価償却費を引くと建物の取得費はおよそ880万円程度まで下がります。
もし「買ったときの書類が見つからない」という場合は、売却価格の5%を取得費として計算するルールがあります(概算取得費)。
ただし、この方法だと取得費がかなり小さくなり、税金が高くなりやすいので、購入時の売買契約書や領収書はぜひ探してみてください。
この計算の結果、譲渡所得がマイナス(つまり損失)になれば、譲渡所得税はかかりません。
「買った金額より安く売れた」というケースでは、税金の心配は不要です。
さらに、マイホームの売却で譲渡損失が出た場合は、一定の要件を満たせば給与所得などと「損益通算」、つまり、損失を他の所得と相殺して税金を減らすことができる制度もあります。
所有期間で税率が大きく変わる——「5年」がひとつの分かれ目
譲渡所得がプラスになった場合、次に大切なのが「その不動産を何年持っていたか」です。
所有期間によって税率が大きく変わります。
売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば「長期譲渡所得」となり、税率は所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%の合計約20.315%です。
一方、5年以下なら「短期譲渡所得」となり、税率は約39.63%と、ほぼ倍になります。
注意していただきたいのは、「実際に住んだ年数」ではなく「売却した年の1月1日時点で5年を超えているかどうか」で判定されるという点です。
たとえば2020年4月に買った家を2025年5月に売った場合、実際は5年1か月経っていますが、2025年1月1日時点では4年9か月なので「短期」扱いになります。
売却のタイミングを少しずらすだけで税率が半分近くになるので、ここは必ず確認しましょう。
具体的なシミュレーションをしてみましょう。
長期譲渡所得が500万円だった場合、税額は約101万円。同じ500万円でも短期なら約198万円。
その差は約97万円にもなります。



たった1年の違いで100万円近く変わるのですから、売却の時期は慎重に考えたいところです。
マイホーム売却の「3,000万円特別控除」——使えれば税金ゼロも夢じゃない
自分が住んでいた家を売って利益が出たとき、「3,000万円までの利益なら税金はかかりませんよ」と国が認めてくれている制度があります。
これを「3,000万円特別控除(居住用財産の特別控除)」といいます(租税特別措置法第35条)。


この特例を使えば、譲渡所得から最大3,000万円を差し引けるため、利益が3,000万円以下ならそもそも課税される所得がゼロになり、税金はかかりません。所有期間の長さに関係なく使えるのも大きなメリットです。
ただし、以下の点には注意が必要です。
- 売却の相手が配偶者や親子など特別な関係にある人の場合は適用できない
- 売却した年の前年・前々年にこの特例を使っていた場合は対象外
- 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)との併用はできない
売却後に新居を購入してローン控除を受ける予定がある方は、どちらが得かを比較検討する必要があります。
なお、10年を超えてマイホームを所有していた場合は、3,000万円特別控除に加えて「軽減税率の特例」を併用できます。
これは、譲渡所得のうち6,000万円以下の部分に対して、通常の約20%ではなく約14%の税率が適用される制度です。長く住んだ家を売る方にとっては、さらに税負担を抑えられる心強い制度です。
相続した空き家にも使える「空き家特例」とは



親から相続した実家を売りたいけれど、自分は住んでいなかったから3,000万円控除は使えないのでは?
そう心配される方もいらっしゃいます。実は、相続した空き家についても3,000万円の特別控除が使える制度があります。
正式名称は「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」です。
この特例は、亡くなった方(被相続人)がひとりで住んでいた家を相続し、一定の要件を満たして売却した場合に使えます。
2024年1月以降の譲渡では、相続人が3人以上いる場合の控除額が2,000万円に引き下げられましたが、相続人が1〜2人なら従来どおり3,000万円の控除を受けられます。
適用を受けるには、相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却を完了する必要がありますので、期限には十分ご注意ください。
このほかにも、住み替え時に使える「買換え特例」や、売却損が出た場合の「譲渡損失の損益通算・繰越控除」など、状況に応じた節税の制度が用意されています。



大切なのは、自分に使える特例を見落とさないこと。判断に迷ったら、税理士や不動産会社に相談するのが確実です。


明日からできる!不動産売却の税金で損しないための具体的アクション


結論として、税金で損をしないためには「書類の準備」「査定の依頼」「確定申告の段取り」の3つを早めに進めることが大切です。順番に見ていきましょう。
まずは「購入時の書類」を探す——取得費の証明が節税のカギ
売却の税金を計算するうえで、もっとも影響が大きいのが「取得費」です。
購入時の売買契約書や領収書が手元にあるかどうかで、税額が何十万円、場合によっては何百万円も変わることがあります。
たとえば、3,000万円で売れた家の購入時の書類が見つからなければ、取得費は売却価格の5%、つまり150万円として計算されます。この場合、譲渡費用を100万円とすると、譲渡所得は2,750万円です。
一方、購入時の契約書が見つかり「2,500万円で購入した」と証明できれば、譲渡所得は400万円まで下がります。
3,000万円特別控除を使えばどちらもゼロですが、特例が使えないケース(相続物件で空き家特例の要件を満たさない場合など)では、この差は税額にして約477万円(長期譲渡の場合)にもなるのです。



まずやっていただきたいのは、ご自宅の押し入れや書棚、金庫の中を確認して、購入時の売買契約書・重要事項説明書・領収書を探すことです。
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見つからない場合は、購入した不動産会社や、住宅ローンを借りた金融機関に問い合わせると写しが残っていることがあるよ!
査定は「複数社」に依頼する——相場を知ることが交渉力になる
次のステップは、不動産会社に査定を依頼することです。
査定とは、「あなたの家がいくらで売れそうか」をプロに見積もってもらうことで、多くの会社が無料で対応しています。
ここで大切なのが、1社だけでなく複数の会社に査定を依頼することです。
会社によって得意な物件タイプやエリアが異なるため、査定額に数百万円の差がつくことも珍しくありません。



「不動産会社に連絡するのは気が重い」「しつこい営業をされるのでは」と心配される方もいらっしゃいますが、最近は訪問査定でも「まず話を聞くだけでOK」「無理な売り込みはしません」というスタンスの会社が増えています。
担当者がご自宅まで来てくれるサービスもあるので、店舗に出向く体力的な負担も不要です。
ご家族と一緒に話を聞くこともできますし、必要に応じて何度でも訪問してもらえる会社もあります。
査定額が分かれば、「売却代金で住宅ローンを完済できるか」「相続税の納税に充てられるか」「税金を引いた後の手取りはいくらか」といった具体的なシミュレーションができるようになります。
売却方法の選び方——「仲介」と「買取」で税金の負担感も変わる
不動産の売却方法は、大きく「仲介」と「買取」の2つがあります。
- 仲介
不動産会社に売却を頼むときの契約(媒介契約)を結び、買主を探してもらう方法です。
市場価格に近い金額で売れる可能性がありますが、買主が見つかるまで数か月かかることもあり、「いつ売れるか分からない」という不安がつきまといます。 - 買取
不動産会社が直接買い取る方法で、買主を探す必要がないため最短2週間程度で現金化できます。
相続税の申告期限が迫っているケースにも対応しやすい方法です。
税金面で注目したいのは、買取の場合は仲介手数料がかからないという点です。
仲介手数料は宅地建物取引業法で上限が定められており、売却価格の3%+6万円(税別)です。
たとえば2,000万円の物件なら66万円(税込約72.6万円)にもなります。
仲介手数料は譲渡費用として控除できますが、そもそも支払わなくて済むのは大きなメリットです。
また、買取の場合は売主の「契約不適合責任」、つまり、売った後に建物の欠陥が見つかった場合に売主が負う修繕責任を免除してもらえることが一般的です。
築年数の古い家ほど、「売った後に何か問題が見つかったら修繕費を請求されるのでは」という不安がありますが、買取ならその心配がなくなります。



古い家や残置物(家財道具など)がそのまま残っている状態でも買い取ってもらえる会社もあるので、片付けや解体の手間・費用を省きたい方には心強い選択肢です。


確定申告を忘れずに——特例を使うなら申告は「必須」
不動産を売却して利益が出た場合、翌年の2月16日〜3月15日の間に確定申告が必要です。
これは、普段会社の年末調整だけで済んでいるサラリーマンの方でも同じです。
不動産の譲渡所得は「分離課税」といって、給与所得とは別に計算して申告する仕組みになっています(所得税法)。
とくに注意していただきたいのが、3,000万円特別控除などの特例を使って「税金がゼロになる」場合でも、確定申告は必須だということです。
申告しなければ特例は適用されず、本来ゼロで済むはずの税金を丸々支払うことになりかねません。
確定申告に必要な書類で代表的なものは以下です。
- 売買契約書の写し
- 取得費が分かる書類
- 仲介手数料などの領収書
- 登記事項証明書
- 住民票の写しなど
登記事項証明書は法務局のオンラインサービス(登記・供託オンライン申請システム)で取り寄せられます。
パソコンやスマホから申請でき、手数料は郵送受取で520円、窓口受取で490円です(令和7年4月改定)。
届いた書類で、土地の面積や建物の構造など、申告に必要な基本情報がひと目で分かります。



「手続きが複雑そう」「何度も税務署に行くのは大変」という方は、オンラインで手続きを進められる不動産会社や、国税庁の確定申告書等作成コーナー(e-Tax)を活用しましょう。
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遠方の方や、お仕事で忙しい方でも、自宅にいながら手続きを進められるよ。


「うちも売れた!」不動産売却と税金にまつわるリアルな体験談


結論として、税金の知識があるかないかで、手元に残るお金は大きく変わります。
ここでは、実際の売却相談をもとにした2組の事例をご紹介します。
事例1:相続した築35年の実家を売却——70代・元教員の鈴木さんご夫婦
- 鈴木良子さん(仮名・72歳)
- 神奈川県の郊外で夫と二人暮らし
- 3年前に一人暮らしをしていた母親が亡くなり、埼玉県にある築35年の実家を相続
- 兄弟はおらず、相続人は良子さん一人
- 実家には誰も住む予定がなく、月に一度は草刈りや換気のために片道1時間半をかけて通う
ある日、実家の近所の方から電話がかかってきました。
「お宅の庭の木が隣の敷地にはみ出していて困っています」。
良子さんはため息をつきながらつぶやきました。



やっぱり、このままじゃダメね……。毎月の交通費も体力も限界だわ。でも、あんな古い家、買ってくれる人なんているのかしら。
良子さんの心配はもう一つありました。「税金がいくらかかるか分からない」ということです。



母は50年近く前にあの家を建てたの。当時の書類なんて残っているかしら。税金がものすごい金額になったらどうしよう。
夫に相談すると、「まずは不動産会社に聞いてみたらいいんじゃないか。査定は無料だって聞いたぞ」と背中を押してくれました。
良子さんはまず、インターネットで地元の不動産会社2社に査定を依頼しました。そのうち1社は自宅まで来て説明してくれる訪問査定に対応しており、ご主人と一緒に話を聞くことができました。
担当者は「まず話を聞くだけで大丈夫ですよ。契約を急ぐことはありません」と言ってくれたので、安心して相談できたそうです。
査定の結果、土地の価値が予想以上に高く、1,800万円の買取価格が提示されました。
担当者から「空き家の3,000万円特別控除が使える可能性があります。
相続してから3年目の年末までに売却すれば適用できますよ」と教えてもらい、良子さんは急いで司法書士に相続登記を依頼しました。
2024年4月から相続登記が義務化されたこと(不動産登記法の改正)も、手続きを急ぐ理由になりました。
法務局での登記完了まで約3週間。
その後は買取会社が直接購入してくれたため、仲介手数料はゼロ。古い家具や荷物もそのまま引き取ってもらえました。
売却から引き渡しまで約1か月。翌年の確定申告で空き家特例を申請し、譲渡所得税はゼロでした。
良子さんはこう振り返ります。



母の家を手放すのは寂しかったけれど、草刈りや近所への気遣いから解放されて、正直ほっとしました。
夫が『聞くだけでもいいから』と言ってくれたのが、一番の後押しだったわね。もっと早く動いていればよかったと思います。
事例2:書類不備と特例の見落としで手取りが大幅減——50代・会社員の田中さん
- 田中誠一さん(仮名・56歳・東京都内の企業に勤める会社員)
- 亡くなった父親から千葉県の一戸建て(築28年・木造)を相続
- 田中さん自身は東京のマンションに住んでおり、相続した家に住む予定はなし
- 妻と大学生の息子の3人家族で、老後の資金も気になり始めていたところ
相続から1年が経ったころ、固定資産税の通知が届きました。



年間12万円か……住んでもいないのに、これを毎年払い続けるのはもったいないな。
田中さんは週末に不動産会社に電話をかけ、仲介での売却を依頼しました。
妻からは「税金のこと、ちゃんと調べてからにしてね」と言われていましたが、「売れてから考えればいいだろう」と、仕事の忙しさを理由に後回しにしていました。
半年後、2,500万円で買主が見つかりました。
田中さんは「よし、これで老後の資金にもなるぞ」と喜んでいましたが、確定申告の時期になって青ざめました。



取得費が分かる書類が見つからない……。
父親が購入した当時の契約書を実家の押し入れや金庫の中まで探しましたが、どうしても見つかりません。
結局、取得費は売却価格の5%である125万円として計算するしかなく、仲介手数料約89万円などの譲渡費用を引いても、譲渡所得は約2,286万円になりました。
さらに、田中さんは空き家特例の存在を知らなかったため、特例の申請をしていませんでした。
税理士に相談したところ、「空き家特例の要件を満たしている可能性がありましたが、適用を受けるには確定申告で必要書類を提出する必要があります。今から遡って適用することは難しい場合もあります」と言われました。



2,500万円で売れたのに、仲介手数料と税金を引いたら手元に残るのは2,000万円を切ってしまう……妻に何て言おう。
田中さんは深く後悔しました。



妻の言う通り、先に税金のことを調べておくべきだった。
書類探しも、特例の確認も、全部後手に回ってしまった。あのとき30分かけて押し入れの奥まで探していれば、税理士に一度相談していれば、結果は全然違ったはずです。
これから売却を考えている人には、『売る前に、まず税金のことを専門家に聞いてください』と伝えたいです。
この2つの事例からも分かるように、売却前に税金の仕組みと使える特例を確認するだけで、手元に残るお金は大きく変わります。



不動産売却の相談現場では、田中さんのように「もう少し早く相談していれば……」というケースを見かけることがあります。
反対に、鈴木さんのように早めに動いた方は、結果的に時間的にも金銭的にも余裕を持って売却を完了されています。


不動産売却の税金にまつわるよくある質問


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この記事のまとめ——5分でできる「最初の一歩」


ここまでお読みいただき、不動産売却にかかる税金の全体像が見えてきたのではないでしょうか。最後に、大切なポイントを3つだけ整理します。
- 不動産売却で一番大きな税金は「譲渡所得税」
ただし、3,000万円特別控除をはじめとする節税の特例を使えば、税金がゼロまたは大幅に軽減されるケースがとても多い。 - 購入時の書類(売買契約書・領収書)があるかないかで、税額が数十万〜数百万円変わる
まずは書類を探すことが最優先のアクション。 - 特例を使うなら確定申告は必須
利益がゼロでも申告しなければ特例は適用されない。期限は売却した翌年の3月15日まで。
「ご自宅の購入時の売買契約書が手元にあるかどうか、確認してみること」からはじめてみましょう。
書棚、金庫、押し入れのダンボールなど、どこかに眠っているかもしれません。それが見つかるだけで、将来の税金が大きく変わる可能性があります。



「書類が見つからない」「自分の場合はどうなるのか分からない」「相続の手続きも一緒に相談したい」そんなときは、不動産会社や税理士、司法書士などの専門家に気軽に相談してみてください。
最近は「まず話を聞くだけ」という気軽な相談を受け付けている会社も多く、自宅への訪問対応やオンラインでの手続きにも対応してもらえます。一人で悩まず、プロの力を借りることが、結果的に一番の近道になりますよ。

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