
そろそろ家を売ったほうがいいんだろうか…?



相続した実家、いつ手放せばいい?
不動産売却のタイミングは、多くの方が迷う大きなテーマです。
2024年4月から相続登記の義務化がスタートし、同年3月には日銀がマイナス金利政策を解除するなど、ここ2年ほどで売却判断に関わる環境は大きく変わりました。
この記事では、宅地建物取引士・ファイナンシャル・プランナー(AFP)として実務に携わる筆者が、公的データと具体例をもとに「後悔しない売り時」の見極め方を解説します。



この記事を読み終わるころには「家を売るベストタイミング」まで詳しく見えているはずです。
- 不動産売却のタイミングを決める4つの判断軸
- 公的データで見る、いま売却を考えるべき市場環境
- 明日から始められる売却までの具体的な5ステップ
- 相続・住み替え・老後資金別の成功事例と落とし穴
- 築古・空き家・残置物ありでも安心して進められる売却方法
結論:不動産売却のタイミングは「4つの軸」で決まります


不動産売却のベストタイミングは、以下「4つの軸」で決まります。
- 市場相場
- 税金の区切り
- 築年数
- ご自身のライフプラン



すべてが完璧に揃うことは稀!
「どの軸を優先するか」を決めることが、後悔しない売り時を見つける近道です。
なぜ4つの軸が大切かというと、それぞれが売却価格や手取り額に直接影響するから。
市場相場が上昇局面であれば、同じ物件でも数百万円単位で手取りが変わります。
-150x150.png)
-150x150.png)
-150x150.png)
たとえば、所有期間が5年を超えるかだけで、譲渡所得にかかる税率はおよそ2倍も変わるんだって!



とはいえ、「相場が気になって動けなかったうちに、相続税の申告期限が近づいてしまった」ということのないよう注意!
お悩み別に、優先すべき軸の例を整理しておきます。
- 相続税の申告期限(10か月)が迫っている方:④ライフプラン(期限)を最優先
- 空き家を放置していて負担を感じる方:③築年数 + ④ライフプラン
- 老後資金を確保したい方:①相場 + ②税金
- 住み替えを考えている方:①相場 + ④ライフプラン
ちなみに、4つの軸のうち「市場相場」と「税金」は外の事情で変わるため、ご自身では動かせません。
一方、「築年数」は待てば待つほど不利になりやすく、「ライフプラン」はご自身で決められます。
-150x150.png)
-150x150.png)
-150x150.png)
つまり、「自分で動ける軸」から先に固めるのが、タイミングを逃さないコツなんだね!
市場の状況・税金の仕組み・ご自身の事情が重なる「売り時」を逃さないようにしましょう!
公的データで見る、いま不動産を売るべき理由


公的データを見る限り、不動産市場はここ数年「売り手にとって追い風」の傾向が続いています。
地価は連続で上昇基調、中古住宅の需要も高まり、一方で空き家は増え続け、関連制度にも期限が区切られているものが増えています。
地価は3年連続で上昇——国土交通省「令和6年地価公示」が示す相場の現在地
国土交通省の「地価公示」によると、全国の住宅地の地価は前年比で+2.0%、3年連続の上昇となりました。
圏域別に見ると、東京圏は+3.4%、名古屋圏は+2.8%、大阪圏は+1.5%と、三大都市圏はいずれも3年連続の上昇です。





固定資産税の通知書を見ると、確かに評価額が少しずつ上がっているな…



ご自身が売主の立場であれば、今の価格水準は5年前より有利だということです!
ただし、上昇がいつまで続くかは誰にも分かりません。
相場の追い風を受けているうちに査定だけでも取っておくのが、賢い動き方です。
中古住宅の需要が高まっている——住宅市場動向調査が映す買主の姿
国土交通省の「住宅市場動向調査」によると、中古戸建住宅を取得した世帯の取得理由の上位には、「家賃が適切だったから」「住宅の立地環境が良かったから」が並んでいます。
新築の分譲住宅と比べ、中古住宅を選ぶ買主は「価格」と「立地」を冷静に天秤にかけているのです。
」と「保険会社→被保険者(保険金を受け取る方向)」の2つに分かれています。-2.png)
」と「保険会社→被保険者(保険金を受け取る方向)」の2つに分かれています。-2.png)



この背景には、新築価格の高騰があります!
-150x150.png)
-150x150.png)
-150x150.png)
「新築は高すぎて手が届かない。中古で予算に合う家を探そう!」という買い手が増えたんだね。
つまり、「築年数が古くてもう売れないのでは」と諦めていた方こそ、今の中古住宅市場は追い風。



我が家も古くて買い手がつかないと思っていたけど、立地が良かったので想定より高く売れたのよ!
築年数だけで諦めず、まずは査定で「買い手目線でどう見えるか」を確認することが大切!
空き家は過去最高水準——総務省「住宅・土地統計調査」が示す負担の増加
総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」(2024年4月公表)によると、全国の空き家は約900万戸、総住宅数に占める空き家率は13.8%と過去最高を更新しました。
特に「利用目的のない空き家」(いわゆる放置空き家)は約385万戸まで増えています。


「空家等対策の推進に関する特別措置法」(略して空家特措法)により、周囲に危険を及ぼすような「特定空家」に指定されると固定資産税の住宅用地特例が外され、税負担が最大で6倍近くまで跳ね上がる可能性があるので注意しましょう。
さらに、2024年4月から相続登記が義務化され、相続を知ってから3年以内に登記しないと10万円以下の過料が科される可能性が出てきました。
「空き家のまま数年放置」は、税負担の増加と過料のリスクを抱え込むことにつながります。
一方で、追い風になる制度もあります。
国税庁の「相続空き家の3,000万円特別控除」(租税特別措置法第35条)を使うと、ほとんどの売却において税金がかからないか、大幅に抑えられます。
期限が区切られた特例のため、「動くなら今のうち」と言えます。




後悔しない売り時を見極める5つのステップ


結論として、売り時は「待つ」ものではなく「掴む」ものです。
明日からできる具体的なステップは次の5つで、全体の所要期間はおおむね3〜6か月が目安になります。
最初の一歩は、ご自宅の「身分証明書」にあたる書類を揃えることです。
- 登記事項証明書(登記簿謄本):法務局のオンラインサービスから請求可能できます。
- 固定資産税・都市計画税の通知書:毎年5月ごろに市区町村から届く書類です。



この2つが揃うだけで、土地の面積・建物の構造・所有者の情報・税金の基礎情報がひと目で分かります!
不動産会社に相談する前にこの書類があると査定精度も上がり、話がぐっとスムーズに進みます。
査定結果に納得できたら、不動産会社と「媒介契約」を結びます。
- 複数の会社に同時にお願いできるタイプ(一般媒介)
- 1社だけにお願いするタイプ(専任媒介・専属専任媒介)
-150x150.png)
-150x150.png)
-150x150.png)
初めて売却する方は、会社の営業力を集中させられる「専任媒介契約」にすることが多いね!



ただし、「担当者と合わなかった」と感じたときのために、契約期間(最長3か月)が終わったら見直しができることも覚えておきましょう。
売却活動がスタートすると、買主候補からの内覧希望が入ります。
内覧があるからといって、古い家を無理にリフォームする必要はありません。
気になる方には、国土交通省の「建物状況調査(インスペクション)」制度を活用する選択肢もあります。



診断結果を提示すると、買主も安心して購入を検討できます。
近年は「現状のまま買取可能」という不動産会社も増えており、古家付き土地や残置物ありの状態でも引き受けてくれるケースがあります。
売買契約から1〜2か月後に、残代金の支払い(決済)と物件の引き渡しを同時に行います。
このとき、司法書士が所有権の移転登記を行い、住宅ローンが残っていれば抵当権の抹消登記も同日に手続きします。



売却代金で住宅ローンを完済できれば、ローンが残っていても問題ありません。
-150x150.png)
-150x150.png)
-150x150.png)
売却額がローン残高を下回る「オーバーローン」の場合は、差額の手当てが必要です!
売却した翌年の2月16日〜3月15日には、確定申告が必要かどうかを確認します。
家を売って利益(譲渡所得)が出た場合には、所得税と住民税がかかります。



確定申告が必要ですので、売却した翌年の2月〜3月に忘れずに手続きしましょう。
この段階では、ファイナンシャル・プランナーや税理士への相談が心強い味方になります。
「税金がいくらかかるのか分からない」という不安は、査定と並行して早めに専門家に確認しておくと安心です。
相続・住み替え・老後資金…実例でわかる売却タイミングの決め


同じ「売り時」でも、相続か住み替えか老後資金かで最適な動き方は変わります。
3つの実例を見てみると、ご自身の状況に近い判断軸が見えてきます。
事例①:相続税の申告期限が迫った田中さん(62歳・主婦)のケース
- 千葉県で会社員の夫と二人暮らし
- 昨年の夏に東京都内に住む父を亡くし、築28年・3LDKのマンションを相続
- 長男・長女はすでに独立しています。
相続から半年が経ったある日、税理士から電話がかかってきました。



相続税の申告は、亡くなってから10か月以内です。
あと4か月しかありませんよ!
夕食の席で、田中さんは夫にこう漏らしました。



マンションの査定を取ったら、だいたい2,800万円くらいになるみたい。
でも仲介だと売れるまでに3か月はかかるって言われて……
もし間に合わなかったら、納税のために私たちの預金を崩さないといけないのよ…



専門家にもう一度相談してみよう…!
田中さんはまず、自宅に居ながら依頼できる訪問査定を複数の不動産会社に頼みました。
担当者が自宅まで来てくれたので、店舗に出向く負担はゼロ。
次に、買取専門の会社から「最短2週間で現金化可能」という提案を受け、仲介と買取を比較検討しました。



仲介だと3,000万円近くで売れる可能性はあるけど、期限に間に合わないリスクがある…
買取なら2,600万円と下がるけど、確実に間に合うのね…
2つを並べて考え、田中さんは確実性を取って買取を選択。
申告期限の2週間前、無事に決済が完了しました。



相場だけを見ていたら、期限に間に合わなかったと思います。
税金の期限という『動かせない軸』があるときは、仲介にこだわらず、買取も含めて選択肢を広げることが大事だと実感しました。
事例②:実家を相続したが遠方で住めない佐藤さん(55歳・会社員)のケース
- 神奈川県で妻と二人暮らし
- 東北地方にあった実家(築35年・木造戸建)を父から相続
- 兄弟はおらず、実家には誰も住んでいない
相続から1年半が経ったある日、市役所から「空き家の適切な管理のお願い」という文書が届きました。
庭の雑草が道路にはみ出し、ご近所から苦情が入っていたのです。



草刈りと雪かきのために年に4回、片道5時間かけて実家に行っているんだ。
このままじゃ定年後も手放せないのか?



売るにしても、築35年で買い手がつくのかしら…



リフォームに何百万もかかるなら、もう売らないほうがマシなのか…?
佐藤さんはまず、法務局のオンラインサービスで登記事項証明書を取り寄せました。
次に、地元の不動産会社数社にオンラインで査定を依頼し、会話は電話とメールで完結。
相続空き家の3,000万円特別控除は2027年末までの譲渡が対象だと知り、ファイナンシャル・プランナーと税理士に相談。
古家付き土地として現状のまま買取してくれる会社に依頼し、残置物の片付けも不要で引き渡しが完了しました。



築年数だけで諦めなくてよかったです。
相続空き家の3,000万円特別控除が使える期限があるうちに動けたことと、オンラインと買取を組み合わせて遠方への往復回数を最小限にできたことが大きかった。
相続登記義務化もあるので、先延ばしは得にならないと実感しました。



遠方の実家を相続した場合は、「税制特例の期限」と「管理負担」という2つの時計を意識しておくと、判断を先送りしにくくなりますよ。
不動産売却のタイミングに関するよくある質問
不動産売却のタイミングで寄せられる疑問のうち、特に多い5つを、情報収集段階・比較検討段階・行動段階の3段階から取り上げます。
まとめ:今日からできる5分アクションで売却の第一歩を


この記事のポイントを3つにまとめます。
- 相場は追い風が続いているが、制度の「時計」は動いている
- 売り時は「待つ」ものではなく「掴む」もの
- 状況に応じた「選択肢」を知っておくこと
5分でできるアクションとしておすすめしたいのは、法務局のオンラインサービスで登記事項証明書を請求すること(オンライン請求・郵送受取で520円、窓口受取なら490円)です。



書類が1通手元にあるだけで、不動産会社に相談するときの話がぐっとスムーズになります!
物件の相場や売却活動は宅地建物取引士のいる不動産会社、税金や資金計画はファイナンシャル・プランナーや税理士、相続登記は司法書士と、それぞれの専門家に相談するのが最短ルートです。
-150x150.png)
-150x150.png)
-150x150.png)
ひとりで抱え込まず、まずは相談してみてね!








