
家を売ったら税金がかかるらしいけど、いつ、いくら払えばいいの?
不動産売却を考え始めると、まず気になるのがお金の問題です。
実は、不動産を売るときに関わる税金は1種類ではなく、支払うタイミングもそれぞれ違います。
しかも、知らないまま期限を過ぎてしまうと、余計な出費(ペナルティ)が発生することもあります。



でも、安心してください。
この記事では、宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー(AFP)として不動産売買の実務に携わってきた筆者が、「どの税金を・いつ・どうやって払うのか」を、専門用語をかみ砕きながら一つひとつ整理していきます。
2024年4月から相続登記が義務化され、相続した不動産の売却を検討する方が急増している今、納税スケジュールと節税の基本を押さえておくことは、あなたの大切な資産を守る第一歩です。
「結局、いつ何を払うの?」不動産売却の税金スケジュールを先にお見せします


結論から言うと、不動産売却に関わる税金は大きく3つあり、それぞれ支払うタイミングが異なります。
いちばん金額が大きくなる可能性がある「譲渡所得税」は売却した翌年の確定申告のとき、「住民税」はさらにその後です。
まずは全体像をつかんでおけば、「いつまでにいくら用意すればいいか」が見えてきます。
不動産売却とは、土地や建物を第三者に売って現金化する手続きのことです。
この手続きの中で発生する税金は、主に次の3つに分かれます。
- 売買契約書を交わすときにかかる「印紙税」
これは契約書に収入印紙を貼って納める税金で、売却価格が1,000万円を超え5,000万円以下なら1万円(軽減税率適用時)です。支払いタイミングは「売買契約を結んだその日」です。 - 不動産の名義を買主に変える登記のときにかかる「登録免許税」
住宅ローンが残っている場合に必要な抵当権の抹消登記では、不動産1件あたり1,000円です。こちらは「物件の引き渡し日(決済日)」に司法書士を通じて支払います。 - 譲渡所得にかかる「所得税・復興特別所得税・住民税」
これは家を売って利益(譲渡所得)が出た場合にだけかかる税金です。
所得税と復興特別所得税は「売却した翌年の2月16日〜3月15日」の確定申告で納付し、住民税は「売却した翌年の6月以降」に届く納付書で支払います。
つまり、家を売ってから実際に税金を払うまでには、数か月〜1年以上のタイムラグがあるのです。
ここで大切なポイントは、「売却して利益が出なければ、譲渡所得にかかる税金はゼロ」ということ。
さらに、マイホームの売却であれば「3,000万円特別控除」という強力な節税制度を使えるため、実際に税金を払う方はそれほど多くありません。


ただし、控除を受けるには確定申告が必要ですので、「税金がかからないから申告しなくていい」と思い込むのは要注意です。
なお、消費税については、個人がマイホームや相続した家を売る場合には原則として課税されません。
消費税がかかるのは、事業として不動産を売買している法人や個人事業主の場合です。
「消費税も払うの?」と心配される方が多いのですが、一般の方がご自宅を売るケースでは気にしなくて大丈夫です。
相続で実家を引き継いだ方、空き家の管理負担に悩んでいる方、あるいは相続税の納税期限が迫っている方は、売却の時期と納税のスケジュールを一緒に考えることで、お金の計画がぐっと立てやすくなります。
悩み別に整理すると、以下がおすすめです。
- とにかく早く現金化したい方
→買取を検討して納税資金を確保する - 少しでも高く売りたい方
仲介を選びつつ、確定申告の時期を見据えて売却スケジュールを組む - 何から手をつけていいか分からない方
まず無料査定で物件の価値を把握するところから始める



このように、ご自身の優先順位に応じて最初の一歩が変わってきます。


公的データが示す「今、不動産を売る人が増えている」背景


不動産の売却を検討している方が増えている背景には、地価の上昇と空き家問題の深刻化という2つの大きな変化があります。
データを見ると、「早めに動いた人ほど有利だった」という傾向がはっきりと読み取れます。
地価は4年連続で上昇中――あなたの家の「値段」も上がっているかもしれません
国土交通省が2025年3月に公表した「令和7年地価公示」によると、全国の住宅地の地価は前年比2.1%上昇し、4年連続のプラスとなりました。
しかもその上昇幅は、前年の2.0%からさらに拡大しています。


たとえば、ご自宅のポストに届く固定資産税の通知書を思い出してください。
あの評価額の元になっている地価が、じわじわと上がっているということです。
もし5年前に「うちの土地は1,500万円くらいかな」と思っていたなら、今は数十万円〜百万円単位で価値が上がっている可能性があります。



つまり、「いつか売ろう」と思っている方にとっては、地価が上がっている今のうちに査定だけでも受けておくことが、将来の選択肢を広げる賢い一手なのです。
さらに、国土交通省の不動産価格指数(2025年9月分)を見ると、住宅総合の指数は145.4となっており、2010年の平均を100とした場合、住宅価格は約1.5倍の水準にまで上昇しています。
特にマンション(区分所有)は222.2と、2倍以上に高騰しています。


ご近所で「売物件」の看板を見かけることが増えたと感じている方もいるかもしれません。
それは偶然ではなく、「価格が高いうちに売っておこう」と考える方が実際に増えているからです。
ただし、三大都市圏(東京圏・大阪圏・名古屋圏)では上昇幅が拡大し続けている一方、地方圏の一部では下落が続いている地域もあります。
国土交通省の同調査によると、住宅地の地価がプラスとなった都道府県は30に増えた一方で、15県ではまだマイナスが続いています。「全国一律に上がっている」わけではない点には注意が必要です。



まずはご自身の地域の相場を、不動産情報ライブラリ(国土交通省の無料データベース)や不動産会社の査定で確認することが大切です。
空き家は全国900万戸超――放置するほど負担が増えるという現実
総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」(2024年9月公表・確報値)によると、全国の空き家数は約900万戸に達し、過去最多を記録しました。
空き家率も13.8%と過去最高です。
しかも、賃貸や売却の予定もなく、別荘でもない「活用されていない空き家」は約386万戸にのぼり、5年前から約37万戸も増加しています。


386万戸という数字は、ちょっと想像しにくいかもしれません。
分かりやすく言うと、日本中の住宅のうち、およそ17軒に1軒が「誰も住んでおらず、特に使い道もないまま放置されている」ということです。
もしご実家がこの状態に該当するなら、毎年の固定資産税、草刈りや防犯対策、ご近所への配慮といった「見えないコスト」が積み重なっている可能性があります。
同調査によると、一戸建ての空き家は約352万戸で、そのうち約8割が賃貸や売却の目的を持たない、いわば「持て余された空き家」です。
こうした一戸建ての空き家は、年数が経つほど建物が傷み、雨漏りやシロアリ被害が進行して、将来的に売りたいと思ったときに大幅に価値が下がってしまうリスクがあります。
加えて、高齢者(65歳以上)のいる世帯が全世帯のうち42.7%を占めているという調査結果も見逃せません。
65歳以上の方がお住まいの世帯は2,375万世帯に達し、そのうち高齢の方が一人で暮らしている「高齢単身世帯」が32.1%を占めています。
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ご自身の将来の住まいを考えたとき、あるいは親御さんの家をどうするかを考えたとき、「元気なうちに、判断力があるうちに動く」ことが、家族全員の安心につながります。
さらに注目すべきは、空き家の取得経緯で最も多いのが「相続」であるという事実です。
そして、2024年4月から施行された相続登記の義務化(不動産登記法の改正)により、相続した不動産を3年以内に登記しなければ、10万円以下の過料(行政上のペナルティ)が科される可能性があります。





「いつかやろう」と思って先延ばしにしていると、登記のペナルティに加え、建物の劣化が進んで売却価格が下がるリスクもあります。
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逆に、早めに動けば、建物の状態が良いうちに売れる可能性が高まって、相続税の納税資金を確保する手段としても有効だね。
相続税の申告は「10か月以内」――この期限が売却の判断を左右する
国税庁の案内によると、相続税の申告と納税の期限は「被相続人(亡くなった方)が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内」と定められています。
相続した不動産を売却して納税資金に充てたいと考えている場合、この10か月という期限は想像以上にタイトです。
不動産の売却には、査定依頼から買主探し、契約、引き渡しまで、仲介の場合は3〜6か月程度かかるのが一般的です。
つまり、相続が発生してから「さて、どうしよう」と考え始めると、納税期限に間に合わないリスクが出てきます。



こうした時間の制約がある場合には、不動産会社による直接買取という方法を選ぶと、最短2週間ほどで現金化できるため、期限に追われるストレスを大幅に減らせます。


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「明日から何をすればいい?」売却の税金で損しないための具体的アクション


不動産売却の税金で損をしないためには、「売る前の準備」「売却中の判断」「売った後の手続き」の3段階で、やるべきことを押さえておくことが大切です。
一つずつ、具体的に見ていきましょう。
まずは「いくらで売れるか」を知る――査定は無料・自宅でOK
最初の一歩は、ご自宅や相続した物件が「今いくらで売れるのか」を知ることです。不動産の査定とは、専門家が物件の立地や面積、築年数、周辺の取引事例などをもとに、売却予想価格を出してくれるサービスのことです。



不動産売却の相談現場では、「査定を頼んだら断れなくなるのでは」と心配される方をよく見かけます。でも、査定はあくまで「値段を教えてもらう」だけのステップです。
査定額を聞いた上で「やっぱり今は売らない」と判断しても、まったく問題ありません。
訪問査定に対応している不動産会社であれば、担当者がご自宅まで来て、物件の状態を見ながら丁寧に説明してくれます。その場で契約を迫られることはなく、家族と一緒に話を聞くこともできます。
所要時間は1〜2時間程度、費用は無料です。
また、遠方にお住まいで相続した実家を売りたい場合など、何度も現地に足を運ぶのが難しいケースもあります。
最近は、契約手続きの多くをオンラインで完結できる不動産会社も増えているため、「忙しくて時間がない」「体力的に何度も出向けない」という方でも、負担を最小限に抑えることが可能です。
「仲介」と「買取」の違いを知って、自分に合った方法を選ぶ
不動産を売る方法は大きく2つあります。不動産会社に買主を探してもらう「仲介」と、不動産会社が直接あなたの物件を買い取る「買取」です。
- 仲介
市場価格に近い金額で売れる可能性がある一方、買主が見つかるまでに3〜6か月、場合によってはそれ以上かかることもあります。
また、宅地建物取引業法に基づき、売却価格の3%+6万円(税別)を上限とする仲介手数料が発生します。 - 買取
不動産会社が直接購入するため、買主探しの時間が不要で、最短2週間ほどで現金化できます。
仲介手数料もかかりません。
さらに、売った後に建物の欠陥が見つかった場合に売主が負う「契約不適合責任」(民法で定められた売主の責任)を免除してもらえるケースが多いため、築年数の古い家や、残置物(家具や荷物がそのまま残っている状態)がある物件でも、片付けや修繕なしで売却できるのが大きなメリットです。



実際に売却を経験された方からは、「古い実家だから売れないと思っていたけど、買取なら現状のまま引き取ってもらえて安心した」という声をいただくことが多いです。
どちらが良いかは、あなたの状況「時間に余裕があるか」「納税期限が迫っているか」「物件の状態はどうか」によって変わりますので、査定のときに両方の見積もりを聞いてみるのがおすすめです。
確定申告は「売却した翌年の2月16日〜3月15日」に忘れずに
不動産を売って利益(譲渡所得)が出た場合、所得税法に基づき、売却した翌年の2月16日〜3月15日に確定申告を行い、所得税と復興特別所得税を納付する必要があります。
譲渡所得とは、「売った金額」から「買ったときの金額(取得費)」と「売るためにかかった費用(譲渡費用)」を差し引いた利益のことです。
確定申告に必要な書類は主に次のとおりです。
- 譲渡所得の内訳書(税務署や国税庁のホームページから入手可能)
- 売買契約書のコピー
- 取得費が分かる書類(購入時の売買契約書や領収書)
- 仲介手数料の領収書などの譲渡費用が分かる書類
- 特例を受ける場合はその要件を証明する書類



「確定申告なんてやったことがない」という方も心配いりません。
国税庁のe-Tax(電子申告)を使えば、パソコンやスマートフォンから自宅で申告できます。画面の案内に沿って数字を入力するだけなので、税務署に出向く必要はありません。
所要時間は、書類が揃っていれば1〜2時間程度です。
もし不安であれば、税務署の無料相談窓口を利用したり、税理士に依頼する方法もあります。
ここで見落としがちなのが「住民税」の納付です。所得税の確定申告をすると、その情報が市区町村に送られ、翌年の6月ごろに住民税の納付書が届きます。
会社員の方で給与から住民税が天引きされている場合(特別徴収)は、6月以降の給与から上乗せされる形で引かれます。
このとき、経理担当者に「不動産を売った利益がある」ということが間接的に分かってしまう可能性がありますので、気になる方は確定申告書の「住民税に関する事項」の欄で「自分で納付(普通徴収)」を選択しておくとよいでしょう。
自営業の方や年金生活の方など普通徴収の方は、届いた納付書に従って、年4回(6月・8月・10月・翌年1月)に分けて支払います。
なお、所得税の納付方法は複数あります。銀行窓口での納付書払いのほか、口座振替(振替納税)、クレジットカード払い、コンビニ払い(30万円以下)、e-Taxからのダイレクト納付などが選べます。
まとまった金額を一度に払うのが難しい場合は、税務署に相談すれば延納(2回に分けての納付)が認められるケースもあります。
「3,000万円特別控除」で税金がゼロになる可能性を確認する
自分が住んでいた家(マイホーム)を売って利益が出たとき、「3,000万円までの利益なら税金はかかりませんよ」と国が認めてくれている制度があります。
これを「3,000万円特別控除」(正式には「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」、租税特別措置法第35条)といいます。


たとえば、30年前に2,000万円で購入したマイホームを4,500万円で売却した場合、利益は2,500万円です(諸費用を考慮しない単純計算)。
この利益は3,000万円以下ですから、特別控除を適用すれば譲渡所得はゼロとなり、所得税も住民税もかかりません。
さらに、相続した空き家を売却する場合にも、一定の要件を満たせば同様に3,000万円の特別控除が使える制度があります(空家等対策の推進に関する特別措置法とも関連する「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除」)。
この特例は2027年12月31日までの売却が対象で、相続から3年を経過する年の12月31日までに売ることが条件です。
ただし、これらの特例を受けるためには確定申告が必須です。
「控除で税金がゼロになる=申告不要」ではありませんので、ここは特に注意してください。



マイホームの特例と空き家の特例は併用できないなど、細かい要件がありますので、判断に迷ったら税理士や税務署に相談するのが確実です。


相続税を払った人は「取得費加算の特例」も見逃さないで
相続で取得した不動産を売却する場合、もう一つ知っておきたい制度があります。
相続税を支払った方が、相続した不動産を相続開始から3年10か月以内に売却した場合、支払った相続税の一部を取得費に上乗せできる「相続税の取得費加算の特例」(租税特別措置法第39条)です。
取得費が増えるということは、譲渡所得(利益)が減るということ。
つまり、支払う税金が少なくなります。
たとえば、相続税を500万円支払い、そのうち不動産に対応する部分が200万円だとすると、その200万円を取得費に加算できるため、譲渡所得が200万円分小さくなり、税金がその分減るのです。
この特例は、3,000万円特別控除と併用することも可能です。
「相続税の納税で手元資金が減ったうえに、不動産を売った利益にまで税金がかかるの?」という不安を解消してくれる、相続で不動産を取得した方には心強い制度です。



期限が「相続開始から3年10か月以内」と決まっていますので、相続税を支払った方は、この期限を意識して売却のタイミングを検討しましょう。


「まさに自分のことだ」と感じる売却体験談


ここでは、実際に不動産を売却された方のケースを2つご紹介します。
あなたと似た状況の方がいれば、きっと参考になるはずです。
ケース1:相続税の期限に追われた60代男性が、買取で安心を手に入れた話
- 東京都内で会社員として働く田中さん(62歳・会社員・妻と二人暮らし)
- 埼玉県の実家で一人暮らしをしていた父親が亡くなり、築40年の木造一戸建てを相続
- 兄弟は妹が一人、すでに大阪で家庭を持っており、実家に住む予定はなし
父の四十九日が終わり、遺品整理をしている最中にふと手に取った固定資産税の通知書。年間12万円の税金が、誰も住んでいない家にかかり続けていることに気づいた瞬間、「このまま放っておけないな」と思いました。さらに、税理士から「相続税の申告期限は10か月以内です」と聞かされ、焦りが一気に押し寄せました。



でも、不動産会社に電話したら、しつこく営業されるんじゃないか。
田中さんは妻にそう漏らしました。
妻は「お父さんの家のことだし、まずは話だけ聞いてみたら? 私も一緒に行くわよ」と言ってくれましたが、築40年の家は外壁にひびが入り、庭は草が伸び放題。
「こんな状態で、そもそも売れるのだろうか」という不安が頭から離れませんでした。
まず、田中さんはインターネットで「相続 不動産 売却」と検索し、買取に対応している不動産会社に問い合わせました。すると、担当者が実家まで訪問してくれることに。
現地で家の状態を見ながら、「この状態でもそのまま買い取れますよ。残置物の処分も当社で対応しますので、片付けは不要です」と説明を受けました。
その場で契約を迫られることもなく、「ご家族とゆっくり相談してください」と言われ、田中さんは安心しました。
次に、妹にも電話で説明し、了承を得た上で、2週間後に正式に売却を決断。契約手続きの大部分はオンラインで進められたため、仕事を何日も休む必要はありませんでした。
相談から約3週間で引き渡しが完了し、売却代金が口座に振り込まれました。仲介手数料はゼロ。売却代金の一部を相続税の納付に充て、残りは老後の資金として確保できました。翌年の確定申告では、相続空き家の3,000万円特別控除を適用し、譲渡所得税もゼロに。



正直、最初は『不動産会社=怖い』というイメージがありました。
でも、実際に相談してみたら、こちらのペースに合わせてくれて、無理な売り込みは一切なかった。
もっと早く動けばよかったと思います。
相続から半年以内に片がついたので、精神的にもずいぶん楽になりました。妹にも、「お兄ちゃんが動いてくれて本当に助かった。
大阪から何度も行くのは無理だったから」と感謝されました。
田中さんのケースでは、買取を選んだことで「仲介手数料ゼロ」「残置物の処分不要」「契約不適合責任の免除」という3つのメリットが活きました。
特に、相続税の申告期限が迫っている状況では、「いつ売れるか分からない」仲介よりも、スケジュールが確定できる買取が安心材料になったのです。
ケース2:「仲介で時間がかかり、固定資産税を2年分余計に払ってしまった」70代女性の後悔
- 神奈川県在住の佐藤さん(73歳・年金生活・息子夫婦と同居)
- 5年前に夫を亡くし、夫の名義だった千葉県の一戸建て(築35年)を相続
- 住む予定はなかったものの、「思い出の詰まった家だから」となかなか売却に踏み切れず
ある日、隣の家の方から電話がかかってきました。
「お宅の庭の木の枝がうちにはみ出していて、落ち葉がすごいんですけど……」。
佐藤さんは慌てて業者に剪定を依頼しましたが、その費用が8万円。
さらに、毎年届く固定資産税の通知書は約15万円。
「誰も住んでいないのに、年間20万円以上出ていくなんて」と、ようやく売却を決意しました。
佐藤さんは近所の不動産会社に相談し、仲介での売却を選びました。
「少しでも高く売りたい」という気持ちがあったからです。
しかし、担当者からは「築35年の木造ですと、建物にはほとんど値段がつきません。
土地の値段での売却になりますね」と言われました。
「それでも、仲介なら買主が見つかれば高く売れるはず」と考え、一般媒介契約(複数の不動産会社に同時にお願いできるタイプの契約)を結びました。
ところが、内覧に来る人はいるものの、「古すぎてリフォーム費用がかかりそう」「残置物を片付けてほしい」といった理由でなかなか成約に至りません。
「せめて片付けをしないと売れないのかしら」と息子に相談すると、「お母さん一人で片付けるのは無理だよ。業者に頼むと何十万もかかるらしい」と言われ、佐藤さんは途方に暮れました。
結局、最初の相談から1年半が経過。その間に固定資産税を2年分(約30万円)、庭の管理費用を3回分(約20万円)支払いました。
「このまま待っていても埒が明かない」と感じた佐藤さんは、買取専門の不動産会社に改めて相談。
すると、「残置物はそのままで結構です。建物の欠陥が見つかった場合の責任(契約不適合責任)も免除しますので、安心してお任せください」と説明を受け、3週間後に売却が完了しました。
最初から買取を選んでいれば、固定資産税や管理費の約50万円を節約できていた計算になります。
佐藤さんは息子にこう話しました。



思い出を大切にしたい気持ちは分かるけど、放っておくとお金も手間もどんどんかかる。
次にこういうことがあったら、早めにプロに相談して、選択肢を聞くところから始めてね。



不動産売却の相談現場では、佐藤さんのように「もっと早く動けばよかった」とおっしゃる方が少なくありません。
売却方法の選択は、「高く売りたいか」「早く売りたいか」「手間をかけたくないか」のバランスで決まります。
正解は人それぞれですが、まずは複数の選択肢を知ることが、後悔しない売却への第一歩です。
不動産売却の税金について、よくある5つの質問
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今日からできること――まずは「5分」で最初の一歩を


この記事のポイントを3つに絞ると、次のとおりです。
- 不動産売却に関わる税金は「印紙税(契約時)」「登録免許税(引き渡し時)」「譲渡所得にかかる所得税・住民税(翌年以降)」の3種類で、それぞれ支払うタイミングが異なる
- マイホームや相続空き家の売却であれば、3,000万円特別控除などの制度を活用することで税金を大幅に抑えられる可能性がある
- 確定申告は税金がゼロになる場合でも必ず必要である
「でも、まだ売ると決めたわけではないし……」という方も、今日できることが一つあります。
それは、ご自宅の登記簿謄本(登記事項証明書)を法務局のオンラインサービス(登記・供託オンライン申請システム)で取り寄せてみることです。
パソコンやスマートフォンから申請でき、手数料は500円ほど。
届いた書類には、土地の面積や建物の構造、所有者の名義、抵当権の有無など、売却に必要な基本情報がひと目でまとめられています。
これを手元に用意しておくだけで、不動産会社に相談するときの話がぐっとスムーズになります。所要時間はオンライン申請なら約10分、届くまでに数日〜1週間程度です。
もう一つ、すぐにできる準備があります。もし購入時の売買契約書や領収書が手元に残っていれば、大切に保管しておいてください。これらは譲渡所得の計算で「取得費」を証明するための重要な書類です。
取得費の証明ができないと、売却価格の5%しか取得費として認められず、結果的に税金が大幅に増えてしまう可能性があります。
書類を探す時間は30分もかかりません。これだけの手間で、将来の税金が何十万円も変わることがあるのです。



不動産の売却は、人生でそう何度も経験することではありません。
だからこそ、「よく分からないから怖い」と感じるのは当然のことです。
でも、一つひとつのステップは、実はそれほど難しくありません。
まずは情報を集め、信頼できる専門家に相談し、納得した上で判断する。
そのプロセスが、あなたとご家族の暮らしを守る確かな力になります。



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