
不動産を売りたいけど、仲介手数料って何十万円もかかるの?



手数料無料の会社があるらしいけど、本当に大丈夫?
このような疑問をお持ちではないでしょうか。



2024年7月に仲介手数料の報酬規定が6年ぶりに改正され、空き家の売買に関するルールも大きく変わりました。
この記事では、宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー(AFP)として不動産売却の相談現場に携わってきた筆者が、仲介手数料の仕組みから「無料」のからくり、損しないための判断基準までを、専門用語なしでやさしく解説します。
「仲介手数料無料」の不動産売却、結局お得なの?まず知っておきたい答え


結論からお伝えすると、仲介手数料が無料だからといって必ずしもお得とは限りません。大切なのは、「手数料がいくらか」ではなく「最終的に手元にいくら残るか」です。
この売却を不動産会社に手伝ってもらうとき、成功報酬として支払うのが仲介手数料です。



つまり、売買が成立して初めて発生する費用であり、相談や査定の段階ではお金はかかりません。
仲介手数料の金額は、宅地建物取引業法(宅建業法)という法律で「上限」が決められています。
これは決して小さな金額ではありません。だからこそ、「無料」と聞くと飛びつきたくなる気持ちはよく分かります。
ちなみに、この手数料には消費税がかかります。
例)仲介手数料の税込み価格
売却価格が1,000万円:約39万6,000円
売却価格が2,000万円:約72万6,000円
売却価格が4,000万円:約138万6,000円
仲介手数料に含まれるのは、以下の業務です。
- 物件の広告掲載
- 購入希望者への案内
- 売買契約書の作成
- 引き渡しまでのサポートなど



逆に言えば、これらの業務以外の費用を「別途請求」されるのは本来のルールに反している可能性があります。
しかし、不動産売却の相談現場では、手数料の安さだけで会社を選んだ結果、「売却価格が数百万円も低くなってしまった」というケースを実際によく見かけます。
手数料が無料でも、売却価格が100万円下がれば、差し引きで損をしてしまいます。
逆に、手数料を満額支払っても、その分だけ販売活動に力を入れてもらい、高値で売れれば手元に残る金額は増えます。
ここで、状況別に押さえておきたいポイントを整理しておきましょう。
相続した実家を早く売りたい方は、買取であれば仲介手数料がそもそも不要で、古い家や残置物があっても現状のまま売れる可能性があります。
空き家の管理負担を減らしたい方は、2024年7月の報酬規定改正により800万円以下の物件でも不動産会社が積極的に対応してくれるようになりました。
住み替え資金を確保したい方は、手数料の値引きだけでなく、売却価格そのものを高くする戦略が重要です。



この後の章では、仲介手数料の仕組みや「無料」のからくりを、データと事例を使ってもう少し深く掘り下げていきます。


数字で読み解く「今の不動産市場」と仲介手数料を取り巻く最新事情


今、不動産を売却するなら、市場の追い風を受けられる可能性が高い時期です。
ただし、地域や物件の種類によって差があるため、「自分の家はどうか」を冷静に見極めることが大切です。
不動産価格指数が示す「マンションは2倍超」の現実
まずは、日本全体の不動産価格がどのように動いているかを確認しましょう。
国土交通省が毎月公表している「不動産価格指数」は、2010年の平均価格を「100」として、今の不動産価格がどのくらいの水準にあるかを示すものです。
国土交通省の「不動産価格指数」(令和7年9月分)によると、全国の住宅総合指数は145.4で高止まりが続いています。
とくにマンション(区分所有)の指数は222.2と、2010年の約2.2倍にまで上昇しています。
一方で、戸建住宅は118.6、住宅地は120.7と、マンションほどの上昇ではありませんが、それでも着実に値上がりしています。


この数字を日常の風景に置き換えてみましょう。
たとえば、お住まいの近所で「売物件」の看板やチラシを見かけたことがあるかもしれません。10年前に2,000万円で売りに出ていたようなマンションが、今は4,000万円を超える価格で取引されているケースも珍しくないということです。



つまり、売却を検討しているなら、この価格水準が続いているうちに動くことで、手元に残るお金が大きく変わる可能性があります。
地価公示4年連続上昇——でも「地域差」は見逃せない
国土交通省が2026年3月に公表した「令和8年地価公示」では、全国の全用途平均が5年連続で上昇し、上昇率も前年の2.7%から2.8%に拡大しました。
三大都市圏(東京圏・大阪圏・名古屋圏)の全用途平均も4.3%から4.6%へと上昇幅が広がっています。
内訳を見ると、住宅地は3.3%→3.5%、商業地は7.1%→7.8%と、とくに商業地での上昇が目立ちます。


ただし、注意が必要なのは地域差です。
都市部や交通利便性の高いエリアでは力強い上昇が続く一方、人口減少が進む地方では依然として下落している地域もあります。
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たとえば、2026年の地価公示では住宅地の上昇率が最も高かったのは東京都(+6.5%)でした。
その一方で、能登半島地震の被害を受けた石川県の一部の住宅地では最大5.5%の下落となった地点があります。
同じ「不動産」でも、場所によってこれだけ価値の動きが異なるのです。



ご自宅の近くにある固定資産税の納税通知書を見て、「評価額が下がっているな」と感じている方もいるかもしれません。
地方の物件ほど「早めに売却を検討する」ことが、将来の価格下落リスクを避ける意味でも重要です。
国土交通省が無料で公開している「不動産情報ライブラリ」を使えば、ご自宅周辺で実際にどのような価格で取引が行われたかをパソコンやスマートフォンから確認できます。
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不動産売却のタイミングは、市場全体の数字だけじゃなくて、「自分の物件があるエリアがどうなっているか」で判断するのが鉄則だね。
空き家900万戸時代——放置するほど選択肢が狭まる理由
総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」(2024年9月公表)によると、全国の空き家数は約900万戸に達し、過去最多を更新しました。
空き家率は13.8%で、1993年からの30年間で空き家の数はおよそ2倍に膨れ上がっています。
とくに注目すべきは、賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家が385万戸もあるという点です。





たとえば、相続した実家の草刈りや換気のために
月に一度通っているという方もいらっしゃるかもしれません。
固定資産税の支払い、防犯への心配、ご近所への気遣い。こうした負担は時間が経つほど大きくなります。
年間の固定資産税と交通費だけでも20万〜30万円になるケースは珍しくなく、5年放置すれば100万円以上の持ち出しになります。
さらに、2023年12月に改正された空家等対策の推進に関する特別措置法(空家特措法)により、管理が不十分な空き家は「管理不全空家」に指定され、固定資産税の優遇措置が解除される可能性も出てきました。
優遇が外れると、住宅用地の特例(固定資産税が最大6分の1に軽減される制度)が適用されなくなり、税額が大幅に上がります。



2024年4月には相続登記の義務化がスタートし、相続した不動産の名義変更を放置すると過料の対象になります(不動産登記法の改正)。
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こうした制度変更を踏まえると、「まだ大丈夫」と先延ばしにするより、早めに動き始めるほうが選択肢を広く持てるね。
2024年7月の報酬規定改正——仲介手数料のルールはこう変わった
仲介手数料に直結する大きな制度変更もありました。
2024年7月1日から、宅建業法に基づく報酬規定(仲介手数料の上限ルール)が6年ぶりに改正されたのです。
改正前は、400万円以下の物件を売る場合、不動産会社が売主から受け取れる手数料の上限は19万8,000円(税込)でした。
改正後は、800万円以下の物件に対象が広がり、売主だけでなく買主からも最大33万円(税込)まで受け取れるようになっています。
この改正の背景には、空き家問題の深刻化があります。
物件価格が安いと不動産会社の手数料も低くなり、採算が合わないという理由で「うちでは扱えません」と断られてしまうケースがありました。
たとえば、売却価格が400万円の場合、従来のルールでは仲介手数料の上限が18万円(税抜)。
不動産会社は物件調査、書類作成、買主との交渉などに数か月かかることもありますから、これでは人件費すら賄えないのが実情でした。
手数料の上限が引き上げられたことで、大手を含むより多くの不動産会社が空き家の売買に参入しやすくなり、売主にとっても「相談先の選択肢が増える」というメリットが生まれています。



ただし、売主が支払う手数料が以前より高くなる可能性もあるため、媒介契約(不動産会社に仲介を依頼する契約)を結ぶ前に必ず手数料の金額を確認し、納得したうえでサインすることが大切です。
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仲介手数料を抑えて損しない!売却方法の選び方と具体ステップ


仲介手数料を「ゼロ」にする方法は確かに存在します。
ただし、それぞれにメリットとリスクがあるため、自分の状況に合った方法を選ぶことが何より大切です。
「仲介手数料無料」が成り立つ3つの仕組みとそれぞれの注意点
「手数料無料」と聞くと怪しく感じるかもしれませんが、ちゃんとしたビジネス上の理由があります。
主なパターンは次の3つです。
- 両手仲介で片方を無料にするパターン
両手仲介とは、1つの不動産会社が売主と買主の両方の間に入って取引を仲介することです。
この場合、会社は売主と買主の双方から手数料を受け取れます。
そのうち片方(多くは買主側)を無料にしても、もう片方(売主側)の手数料で利益を確保できるため、「買主は手数料無料」というサービスが成立するのです。
ただし、この仕組みでは、会社が両手仲介を優先するあまり、他社の買主を排除する「囲い込み」が起きやすいというリスクがあります。片手仲介(売主側・買主側がそれぞれ別の不動産会社を通す形態)と比べると、利益相反が生じやすい構造であることを知っておいてください。 - 不動産会社が自ら買い取るパターン
買取専門の不動産会社があなたの家を直接購入する場合、そもそも「仲介」ではないため、仲介手数料は発生しません。
売主にとっては手数料ゼロで売却できるうえ、売った後に建物の欠陥が見つかっても責任を負わなくてよい「契約不適合責任の免責」がつくことが多いのも安心材料です。
ただし、買取価格は仲介で売る場合と比べて2割〜3割ほど低くなる傾向があります。
不動産会社は買い取った後にリフォームして再販売するため、その費用と利益を見込んだ価格になるからです。 - 企業努力でコストを削減しているパターン
店舗を持たずにオンライン中心で営業したり、広告費を抑えたりすることで固定費を下げ、その分を手数料の減額や割引に充てている会社もあります。
この場合は、不自然に安くしているわけではなく、コスト削減の成果を利用者に還元しているケースが多いため、仲介手数料が安い理由としては比較的わかりやすいパターンです。
ただし、店舗を持たない分、対面サポートが限定的な場合もあるため、サービス内容はしっかり確認しましょう。
仲介と買取、自分にはどちらが合う?3つの判断基準
不動産の売却方法は、大きく分けて「仲介」と「買取」の2種類があります。
不動産会社に売却を頼むときの契約(媒介契約)を結んで買主を探してもらうのが「仲介」、不動産会社が直接あなたの物件を買い取るのが「買取」です。
判断の基準は3つあります。
- 売却にかけられる時間
仲介は買主が見つかるまでに平均で3〜6か月かかることが多いですが、買取であれば相談から最短2週間程度で現金化できる場合もあります。
相続税の申告・納税期限(相続開始から10か月以内)が迫っている方には、買取のスピード感が心強い味方になります。 - 物件の状態
築30年を超える古い家、室内に残置物(家具や荷物)が大量にある家、長年空き家だった物件は、仲介で売り出しても買い手がなかなかつかないことがあります。
建物状況調査(インスペクション)を受けて物件の状態を明らかにすれば買い手の安心につながりますが、費用と時間がかかります。
こうした物件は、現状のまま引き取ってくれる買取専門の会社に相談するのもおすすめです。古家や残置物があってもそのまま買い取ってもらえるケースが多く、片付けやリフォームの費用を心配する必要がありません。 - 手元に残る金額
仲介なら市場価格(相場)に近い金額で売れる可能性がありますが、仲介手数料(売却価格の3%+6万円+消費税)のほか、ハウスクリーニング、修繕費用、測量費用などの諸費用がかかることもあります。
買取は売却価格が低めになる代わりに、手数料ゼロ・片付け不要・修繕不要で、諸費用を大幅に抑えられます。
最終的な手取り金額で比較することが肝心です。
「無料」の不動産会社を選ぶとき、損しないためのチェックポイント
手数料無料をうたう会社に依頼する場合、以下の3点を事前に確認してください。
- 手数料以外の費用が発生しないか
仲介手数料は無料でも、「広告費」「事務手数料」「コンサルティング料」など別の名目で費用を請求されるトラブルがあります。
宅建業法では、通常の仲介業務の範囲内で発生する費用は仲介手数料に含まれると定められていますので、別途の請求は本来おかしいのです。
媒介契約書にサインする前に、トータルの費用を書面で確認してください。
所要時間は10分ほどで、契約書の「報酬」欄と「特約事項」欄を読むだけです。 - 囲い込みをしていないか
囲い込みとは、不動産会社が自社で買主を見つけて両手仲介の手数料を得るために、他社からの購入希望者を意図的に断ってしまう行為のことです。これをされると、本来もっと高値で売れたはずの物件が安く買いたたかれてしまう恐れがあります。
対策としては、レインズ(不動産流通標準情報システム)の「売主専用画面」で物件の公開状況を自分の目で確認しましょう。
2025年1月からは、登録証明書に記載された二次元コードをスマートフォンで読み取るだけで簡単にアクセスできるようになっています。 - 担当者の対応と実績
手数料が無料でも、売却活動に力を入れてもらえなければ意味がありません。
実際に売却を経験された方からは「担当者の熱意が結果を左右した」という声をよくいただきます。
査定時に「なぜこの価格なのか」を根拠とともに説明してくれるか、類似物件の成約実績を見せてくれるかが、信頼できる担当者かどうかの判断材料になります。
「まず何をすればいい?」売却準備の5ステップ
具体的な行動に移すための手順を、時系列で整理します。
法務局のオンラインサービスで、自宅のパソコンやスマートフォンから申請できます。
手数料は500円ほどで、届いた書類から売却に必要な以下の基本情報を確認できます。
- ご自宅の土地面積
- 建物の構造
- 抵当権の有無など
金融機関に問い合わせるか、毎年届く「返済予定表」で確認できます。
ローンが残っている物件でも売却は可能ですが、売却代金でローンを完済し、抵当権を抹消する登記を行うことが条件になります。
残債と査定額のバランスを知っておくことが、次のステップに進むための前提です。



費用は登録免許税と司法書士の報酬を合わせて1万〜3万円程度です。
最低でも3社に声をかけましょう。査定は無料で、1社あたり30分〜1時間の訪問で完了します。
「自宅に来てもらうのは気が引ける」「しつこい営業が心配」と感じる方もいらっしゃいますが、最近は訪問時に無理な売り込みをせず、「まず話を聞くだけでもOK」というスタンスの会社が増えています。



ご家族と一緒に話を聞くこともできますので、一人で抱え込まず気軽に相談してみてください。必要に応じて何度でも訪問してくれる会社を選ぶと安心です。
不動産会社に仲介を依頼する契約は、「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3タイプがあります。ざっくり言うと、「複数の会社に同時に頼めるタイプ」と「1社だけに任せるタイプ」の違いです。
| 契約タイプ | 概要 | 複数社への依頼 | 自己発見取引 |
|---|---|---|---|
| 一般媒介契約 | 複数の不動産会社に同時に売却を依頼できる契約 | ||
| 専任媒介契約 | 依頼できる不動産会社は1社のみ、自分で買主を見つけた場合は直接売買可能 | ||
| 専属専任媒介契約 | 最も縛りが強い契約 依頼できる会社は1社のみ、自己発見取引も不可 |
複数社に依頼できる一般媒介は比較しやすい反面、各社の動きが薄くなりがちです。
1社に任せる専任媒介や専属専任媒介は、定期的な活動報告やレインズへの登録が義務づけられているため、担当者の本気度が見えやすい利点があります。
契約期間は最長3か月で、期間満了後は会社を変更できますので、最初の判断にそこまで怖がる必要はありません。
家を売って利益が出た場合、その利益に対して譲渡所得税がかかります。
税率は所有期間によって変わり、5年を超えて持っていた場合は税率がぐっと低くなります(所得税法・租税特別措置法に基づく長期譲渡所得の軽減税率)。
さらに、自分が住んでいた家を売る場合は「3,000万円特別控除」という制度があり、利益が3,000万円以内であれば税金がゼロになります。



また、相続した空き家を売る場合にも同様の特例(租税特別措置法第35条第3項)が適用できる場合があります。確定申告の手続きが必要ですので、不安な方は税理士やファイナンシャルプランナーに事前に相談してみましょう。


「手数料ゼロで助かった」「安さに飛びついて後悔」——売却体験から学ぶ教訓


ここでは、実際に不動産売却を経験した方の事例をご紹介します。
どちらも「仲介手数料」が売却の判断に大きく影響したケースです。
事例1:相続した空き家を買取で売却——72歳・元公務員の田中さんの場合
- 田中さん(72歳・男性)
- 3年前に母親を亡くし、埼玉県郊外にある築45年の実家(木造2階建て、土地は約50坪)を相続
- 田中さん自身は東京都内のマンションで妻と二人暮らしで、実家に住む予定もなし
- 相続登記の義務化(2024年4月施行)のニュースを見て、「名義変更もしないといけないし、いよいよ何とかしないと」と感じていました。
相続してからの3年間、月に一度は電車で片道1時間半かけて実家に通い、庭の草刈りやポストの整理をしていました。ある夏の日、草刈り中に熱中症気味になり、「もう体力的に限界だ」と強く感じたのが売却を考え始めたきっかけです。



でも、おふくろが大切にしていた家を売るなんて……。
田中さんは何日も悩み、妻にも相談しました。



お義母さんも、あなたが倒れるのは望んでいないわよ。
家は手放しても、思い出はなくならないから。
背中を押してくれましたが、もう一つの心配は費用でした。



古い家だし、リフォームや片付けにお金がかかるのでは。
仲介手数料も何十万円も取られるんだろうな。
田中さんの不安は尽きませんでした。そして田中さんは次の行動をとりました。
- インターネットで「古い家 売却」と検索
- 買取専門の不動産会社が存在することを知る
- 3社に問い合わせたところ、そのうち1社は「ご自宅まで訪問して説明します。話を聞くだけでも大丈夫ですよ」と回答
- 翌週には、実際に担当者が自宅に来訪
妻も同席し、「買取なら仲介手数料はかからない」「残置物はそのままで引き取れる」「契約不適合責任も免責になる」という説明を受けました。
田中さんは「手数料がゼロで、片付けもしなくていいなんて、本当ですか?」と何度も確認したそうです。
担当者は「はい、当社が直接買い取りますので仲介ではありません。手数料はゼロです。残置物の処分費用も当社で負担しますので、お気持ちの整理がつく荷物だけお持ちいただければ結構です。」
と丁寧に説明してくれました。
査定額の根拠も、近隣の取引事例を示しながら説明してくれたため、田中さんは納得して契約を決意。
2週間後には契約、さらに2週間後に引渡しと代金の受取りが完了しました。
遠方の手続きもオンラインで対応してもらえたため、現地に足を運んだのは最後の引渡しの1回だけで済みました。
売却価格は仲介で出した場合の相場より約2割低い780万円でしたが、仲介手数料ゼロ、残置物の処分費ゼロ、修繕費ゼロ。



仲介で1,000万円で売れても、手数料や片付け費用を引いたら、手取りはそこまで大きく変わらなかったと思います。何より、あの草刈りから解放されて、固定資産税の支払いもなくなって、本当にスッキリしました。
事例2:「手数料無料」に惹かれて依頼したが——55歳・会社員の佐藤さんの苦い経験
- 佐藤さん(55歳・女性・独身)
- 東京都内の3LDKマンション(築18年)を売却、地元の神奈川県にある小さな一戸建てへの住み替えを検討中
- 住宅ローンの残債は約800万円
- 「売却代金でローンを返して、住み替えの資金にしたい。老後のために少しでも多く手元に残したい」と計画中
インターネットで「マンション売却 仲介手数料無料」と検索し、「手数料完全無料」をうたうA社を見つけました。「無料なら、その分だけ手元に残るお金が増える」
佐藤さんはそう考え、他の会社と比較することなく、すぐにA社に依頼しました。
査定額は3,800万円。
A社と専属専任媒介契約を結び、販売活動が始まりました。
しかし、1か月が過ぎても内覧の申し込みはゼロ。
佐藤さんが「他の不動産会社からの問い合わせは来ていますか?」と聞くと、
担当者は「まだですが、もう少しお待ちください」と答えるだけでした。



本当に大丈夫なのかしら……。でも、契約しちゃったし。
佐藤さんの不安は日に日に大きくなっていきました。
2か月が過ぎた頃、知人の紹介で別のB社の担当者と話す機会がありました。
そこで初めて「囲い込み」の存在を知ることになります。
「レインズを見ると佐藤さんの物件は載っていますが、A社に電話したら『商談中です』と言われたそうですよ」と教えてもらい、佐藤さんは愕然としました。
A社は自社で買主を見つけて両手仲介の手数料を確保するため、他社からの問い合わせを断っていたのです。
専属専任媒介契約の期間は最長3か月です。
佐藤さんは契約期間の満了を待って、B社に切り替えました。
B社は仲介手数料を上限どおり請求する会社でしたが、物件情報を広く公開し、ポータルサイトへの掲載やオープンルームの開催など積極的に販売活動を展開。
切り替えから2か月後に3,650万円で売買契約が成立しました。
B社への仲介手数料は約127万円(税込)。
A社で3か月間ロスした分、住み替え先の購入スケジュールもずれ込み、住み替え用のつなぎ資金まで必要になってしまいました。



手数料無料に飛びついた3か月を、本当に後悔しています。
あのとき、最初から3社に査定を依頼して比較していれば、こんなことにはならなかった。
手数料の金額だけでなく、会社がどんな販売活動をしてくれるかをしっかり確認すべきでした。
無料でも有料でも、信頼できる担当者を見極めることが一番大事。
2つの事例から見えてくる「損しない」ための判断軸
田中さんの事例は、物件の状態やご自身の体力的な事情を冷静に判断し、手数料ゼロの買取を選んだ成功例です。
佐藤さんの事例は、手数料の安さだけに注目して会社の販売力やリスクを見落としてしまった教訓です。



どちらの事例にも共通するのは、「手数料の金額」ではなく「最終的にいくら手元に残るか」「自分の状況にどの方法が合っているか」を軸に判断することの大切さです。
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「手数料を払わないといけないから損をする」ってわけではないんだね。




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不動産売却の仲介手数料、みんなが気になるQ&A


納得のいく不動産売却のために——今日できる「はじめの一歩」


この記事のポイントを3つにまとめます。
- 仲介手数料が無料になる仕組みを理解したうえで、状況に合った売却方法を選ぶことが大切
両手仲介による無料、買取による手数料不要、企業努力による割引など、それぞれにメリットとリスクがあります。 - 判断の軸は「手数料の金額」ではなく「最終的に手元に残るお金」
仲介手数料が無料でも、売却価格が大きく下がったり、別名目で費用を取られたり、囲い込みで売却が長引いたりすれば、結果的に損をしてしまいます。 - 不動産市場は今のところ価格上昇が続いているが、地域差が大きい
空き家を放置すればするほど、建物の劣化や法改正によって売却の選択肢が狭まっていきます。
まずは国土交通省の「不動産情報ライブラリ」でご自宅周辺の取引価格を調べてみてください。
パソコンやスマートフォンから無料で利用でき、近隣でどのような物件がいくらで売れたかを確認できます。



「金額を見て、ちょっと話を聞いてみたいな」と思ったら、売却の準備を進めてみましょう。
ご自宅まで来て丁寧に説明してくれる会社や、オンラインで相談から契約まで進められる会社も増えています。
「まず話を聞いてみるだけ」でもまったく問題ありません。
不動産売却は人生で何度もある経験ではないからこそ、焦らず、でも先延ばしにしすぎず、ご自身のペースで進めていただければと思います。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー、税理士、司法書士の力を借りながら、納得のいく売却を実現してください。

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