全額損金保険の代表格!生活障害保障型定期保険とはどんなもの?

全額損金保険の代表格!生活障害保障型定期保険とはどんなもの?
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全額損金計上で加入することができる法人保険は年々減りつつあります。

法人保険の代表格となる「逓増定期保険」は平成20年、掛け捨てタイプ以外の「がん保険」は平成24年の税制改正を受け、全額損金計上から1/2損金、1/3損金などに変更となりました。

これから全額損金計上ができる法人保険を検討される方は、選択肢が減ってしまいましたが、新たな保険も誕生しています。

それが、「生活障害保障型定期保険」となります。

今回は、生活障害保障型定期保険の特徴と、加入時の注意点について確認していきます。

2019年7月に法人向け生命保険の保険料に関する税制改正が行われました。
2019年7月8日以降の契約は新しいルールが適用されます。
詳細は国税庁HP/法人税基本通達9-3-5/保険料等をご参考ください。

尚、下記の記事でも税制改正の内容をわかりやすく解説しています。

目次

全額損金タイプの法人保険の基礎知識。そのメリットとデメリットとは

生活障害保障型定期保険の説明に入る前に、全額損金計上ができる法人保険の基本的な考え方を確認したいと思います。

全額損金計上のメリット1 損金性

全額損金計上ができる法人保険の最大のメリットは、保険料を支払う際、つまり“入口”における節税効果です。
決算時に多額の利益があった場合、対策をするかしないかで法人税が大きく異なってきます。

例)利益 5,000万円 法人実効税率33.8%の場合

保険を使用しない場合の法人税
5,000万円✕33.8%=1,690万円

保険(保険料3000万円)を使用した場合の法人税
(5,000万円-3,000万円)✕33.8%=676万円

保険に加入した場合としなかった場合の法人税の差額は
1690万円-676万円=1014万円となります。

全額損金計上タイプの法人保険の場合、支払った保険料を全額損金として扱うことができるため、利益から保険料全額を差し引くことができるため、結果、法人税を減らすことができます。

全額損金計上のメリット2 貯蓄性

全額損金計上できる法人保険は、掛け捨てタイプの保険と貯蓄性のある保険の2つに分かれます。

貯蓄性のある法人保険は、保険料を全額損金計上しながらも、お金を溜めておくということが可能となります。
そのお金を引き出す場合には、「解約」などの方法を使って、すぐに現金化することができます。

全額損金計上のデメリット

しかし解約時にはデメリットが発生することがあります。

解約時には、解約返戻金が発生し、現金化することができるのですが、その現金は、全額益金計上されることになります。
つまり、解約返戻金全額に対し課税され、法人税の支払いを増やすことに繋がります。
法人保険は利益の繰り延べ、法人税の支払いを後回しにしていると言われる所以です。

例)解約返戻金 5,000万円 法人実効税率 33.8%

解約返戻金に対する法人税
5,000万円✕33.8%=1,690万円

解約返戻金を受け取って出口対策をしなかった場合、1,690万円の法人税を支払うことになります。
保険料支払時という入口で節税した法人税を、解約時という出口の際にまとめて支払うイメージです。

これでは節税にならず、保険を使う意味もありません。

しかしこのデメリットは「出口対策」をすることで解決することができます。

法人保険の出口対策

解約返戻金によって5,000万円の利益が発生してしまいましたが、このタイミングで5,000万円の費用が発生すると、利益は0円となり、解約返戻金相当分の法人税も0円となります。

例)出口対策

  • 社長や役員の勇退退職金の支払い
  • 従業員のボーナスの支払い
  • 事務所や工場の修繕費の支払い
  • 不動産売却による特別損失
  • 赤字の補填による銀行対策

このような費用があると、解約返戻金による利益を減らすことができます。
保険料支払時の「入口」で節税、解約時の「出口」での対策を行うことで、お金を貯めながら節税することが可能となります。

仮に上記のような方法が取れない場合であっても、出口対策をする方法は様々ありますので、ファイナンシャルプランナーなどに相談しながら、導入を検討して下さい。

数少ない全額損金計上のできる保険!生活障害保障型定期保険の特徴は?

法人保険契約は税金を繰り延べながらキャッシュを最大化する目的に使われることも多いことから、解約を前提とされることが多い傾向にあります。

一方で、生活障害保障型定期保険も生命保険の一つでもあることから、万が一のときの保障も充実しています。

生活障害保障型定期保険の保障内容は?

生活障害保障型定期保険は保険会社によって違いがあるのですが、以下のような状態になった時に保険金が支払われます。

  • 死亡したとき
  • 所定の高度障害状態となったとき
  • 所定の要介護状態となり、その状態が180日間継続し、終身回復する見込みがないとき
  • 転移性の悪性新生物と診断されたとき
  • 急性心筋梗塞を発病し、7日以上継続して人口心肺を使用または心臓弁を人口弁に置換したとき
  • 脳卒中を発病し、所定の要介護状態になり、その状態が90日継続し、終身回復する見込みがないとき
  • 慢性腎不全を発病し、永続的に行う人工透析を開始したとき
  • 肝性脳症を伴う肝硬変を発病し、肝移植をおこなったとき

死亡だけでなく、高度障害、要介護状態、5疾病による重篤な状態など、経営者や役員の大型保障を準備できます。

生活障害保障型定期保険の解約返戻金は?

支払った保険料のうち、どの程度が溜まっているのかを示す指標が解約返戻率となります。
生活障害保障型定期保険の場合、解約返戻率が最も高くなるのが、5年~10年の間となります。
加入年齢や保険会社によっても異なるので、必ず確認するようにしましょう。

そして、受け取った解約返戻金は全額益金計上されてしまうので、出口対策をしないと、その全額が法人税の課税対象になりますので注意が必要です。

社長や役員の勇退退職金の支払いや事務所や工場の修繕費などが生じるタイミングを解約のタイミングと合わせることで、効果的な節税とすることができます。

勇退時期を決めていないときには、生活障害保障型定期保険がおすすめ

生活障害保障型定期保険の特徴のひとつとして、解約返戻率の高い期間が長いことがあります。
経営者の勇退時期は、はっきりと決められないことが多いようです。
後継者の育成や、株式や資産の移転などがスケジュール通りに進まないと、経営者の勇退時期が遅れていきます。

生活障害保障型定期保険は、解約返戻率が高い時期が保険加入5年後~10年後と比較的長いため、勇退時期のタイミングに合わせるのにも、有利となります。
逓増定期保険では、解約返戻率が高い時期は1、2年と比較的短いことから、経営者の勇退時期や事業承継の時期がピンポイントで定まっている場合に向いています。

経営者の勇退時期が定まらないながらも、勇退退職金を準備していきたい場合には、生活障害保障型定期保険が向いています。

まとめ

今回は、生活障害保障型定期保険についてご案内致しました。
生活障害保障型定期保険に限らず、保険料支払時の節税だけでなく、解約返戻金受取時の出口対策を必ず考えておくようにして下さい。
また、保険に加入することで全額損金計上できることから、節税に繋がりますが、同時にキャッシュを失うことにもなりますので、資金繰りを悪化させることになります。
税理士やファイナンシャルプランナー等の専門家に相談をしながら、検討することをオススメします。

昨今の税制改正を背景に、今後も増税基調になることが考えられます。

企業経営を安定して運営できるように、保険という合理的なツールを使ってみてはいかがでしょうか?

全額損金保険の代表格!生活障害保障型定期保険とはどんなもの?

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