こんにちは。保険相談ラボです。
なかなか終息を見せない新型コロナウイルスの感染が続く中、最前線で患者さんの治療に尽力されている医療従事者の方々には感謝しかありません。
本当にありがとうございます!
このようなコロナ禍なので、医療機関からの問い合わせも増えてきました。
特に多い、医療機関向けの労災上乗せ保険に加入した場合の補助金制度について解説します。
厚生労働省のホームページに詳細が載っているのですが、どうも国の文書って難しく書いてありますよね・・・。
解読するの大変です。
そんな忙しい医療機関のかた向けに、この補助金制度をわかりやすくまとめたので、ぜひ最後まで読んで活用してください。
少しでも、医療従事者の方が安心して働ける環境になればと願っています。
医療機関向け補助金 新型コロナ対応の労災上乗せ 医師、看護師はもちろん、看護補助者も対象
この補助金の正式名称は、
「令和2年度新型コロナウイルス感染症対応医療機関労災給付上乗せ補償保険加入支援事業」
という非常に長い名称です。
補助金なので、返済不要です。
ごくごく簡単に一言で説明すると、
新型コロナに対応した労災上乗せ保険に加入した医療機関に対して、
年間の掛金の一部(2分の1、1人あたり1,000円を上限)を補助する制度です。
医療従事者の不安解消や医療機関の運営の安定を図る目的なので、非常に重要なことだと思います。
もっと、積極的にPRして欲しいところですが、補助金は知っている人しか使えないものなので、この記事で情報をキャッチしてしっかり活用してください。
詳細はこの後説明しますが、気になるところは下記のポイントだと思います。
- 対象となる医療機関とは?
- 対象となる医療資格者等は?
- 補助基準額は?
- 対象となる労災給付上乗せ補償保険は?
新型コロナ対応医療機関労災上乗せ補償の補助 気になるポイントを解説
医療従事者の不安や医療機関の運営の安定を図る目的のこの補助金ですが、対象となる医療機関、対象となる医療資格者等、対象となる保険があるので注意が必要です。
補助の対象にならない場合は、申請しても補助金が受け取れないという残念な結果になってしまうので、しっかりとチェックしましょう。
対象となる医療機関等
厚生労働省のホームページを見ると、対象となる医療機関とは、下記のものを指しています。
- 都道府県等の要請を受けて新型コロナへの対応を行う次のいずれかの保険医療機関等
- 重点医療機関、協力医療機関その他の都道府県が新型コロナ患者・疑い患者の入院受入れを割り当てた医療機関
- 都道府県から役割を設定された帰国者・接触者外来を設置する医療機関、都道府県、政令市及び特別区から役割を設定された地域外来・検査センター、都道府県から指定された発熱患者等の診療又は検査を行う医療機関(診療・検査医療機関(仮称))
- 都道府県、政令市及び特別区からの依頼又は委託等により宿泊療養・自宅療養の新型コロナ患者に対するフォローアップ業務、受入施設での対応等に従事する医療資格者等が勤務する医療機関等
※ ③の医療機関等の場合、補助対象は、当該フォローアップ業務、受入施設での対応等に従事する医療資格者等に係る年間の保険料の一部となります。 - 都道府県、政令市及び特別区から役割を設定された地域外来・検査センターに出務する医療資格者等が勤務する医療機関等
※ ④の医療機関等の場合、補助対象は、地域外来・検査センターに出務する医療資格者等に係る年間の保険料の一部となります。
1~2番目は、該当するかどうかなので、わかりやすいと思います。
3~4番目の医療機関の場合、当該の医療資格者のみが補助のとなりますのでご注意ください。
保険相談ラボでは、対象の医療機関かどうかは判定できませんので、ご自身でご確認ください。
また、補助金の対象医療機関でなくても、新型コロナ対応の労災給付上乗せ補償保険には加入できます。
補助金がなくても、医療従事者の方が安心して働けるように新型コロナ対応の労災上乗せ補償保険に加入するケースは増えています。
発熱による外来患者さんは、新型コロナに感染している可能性もありますから、医療従事者が安心して働ける(休業できる)体制づくりも必要です。
対象となる医療資格者等
厚生労働省では、補助金の対象となる医療資格者等を次のように列挙しています。
医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、診療放射線技師、診療エックス線技師、臨床検査技師、衛生検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、言語聴覚士、臨床工学技士、義肢装具士、救急救命士、歯科衛生士、歯科技工士、管理栄養士、栄養士若しくは精神保健福祉士又は当該医療機関において現に診療報酬による評価の対象となっている看護補助者等
列挙されているので、非常にわかりやすいです。
医師、看護師はもちろん、「当該医療機関において現に診療報酬による評価の対象となっている看護補助者等」まで対象になっているので、結構幅が広いです。
上記の対象者は、あくまでも補助金の対象者です。
保険の対象者は、雇用している人全員です。
例えば、院内の売店の業務のみを行う職員を直接雇用してれば、補助金では対象外ですが、保険は対象になります。
補助金の対象と、保険の対象が少し違うので注意してください。
補助金の対象になる人とならない人がいると思いますが、雇用している人全員が保険の対象になるので職員さんの安心感につながります。
職員の方が安心して働ければ、人材の流出防止にもつながります。
補助基準額
補助金額はいくらになるのでしょうか?
医療資格者等の年間の保険料の 2 分の 1(1 人あたり 1,000 円を上限)
※ 剰余金を返還する保険契約の場合は、医療資格者等の年間の保険料から剰余金を控除した額の 2 分の 1(1 人あたり 1,000 円を上限)
保険料(掛金)が10万円であれば、2分の1である5万円が補助金として返ってきます。
ただし、保険料が20万円だったとしても、補助金は5万円が上限となります。
対象人数が多ければ、その分補助金額が増えます。
おそらく、1人あたり1,000円の上限額は使い切れちゃうと思うので、「対象となる人、1人あたり1,000円が補助される」という認識で、ほぼ間違いないと思います。
対象となる労災給付上乗せ補償保険
労災給付上乗せ補償保険の保険料(掛金)の一部を補助するとしていますが、労災給付上乗せ補償保険とは、どんな保険でしょうか?
よく言われているのが「労災上乗せ保険」や「業務災害保険」といわれる仕事中のケガを補償する保険です。
では、その労災上乗せ保険であればどんなものでもよいかというと、条件があり対象になる保険とならない保険があるので注意が必要です。
厚生労働省の資料では、下記のように記載されています。
アを満たす民間保険(ア及びイを満たすものを含む。)であって、令和2年4月1日から令和3年3月31日までの間に、契約を締結し、契約の始期があるもの
ア 休業補償
被用者が業務において新型コロナに罹患して休業し、労働基準監督署の労災認定を受けた場合に、労災給付の上乗せ補償を行う保険
イ 死亡補償又は障害補償
被用者が業務において新型コロナに罹患して死亡し、又は障害が残り、労働基準監督署の労災認定を受けた場合に、死亡補償金又は障害補償金を給付する保険
厚生労働省の資料だけではわかりにくいと思うので、簡単に説明します。
補助金の対象となる労災上乗せ保険(業務災害保険)は、
「新型コロナに罹患して休業し、労災認定を受けた場合に支払われる休業補償」がついているものでないとダメということです。
死亡補償については、記載されていますが補助金の条件には関係ありません。
保険会社、保険商品、特約の有無等によって、補助金の条件に合致するかどうかが変わりますので、注意が必要です。
どうすれば、補助金の対象となる保険に加入できるのかは、お問い合わせください。
医療資格者は新型コロナの感染リスクが高いので、感染して休業しなければならなくなったときに、その時の経済的補償が必要だからこの補助金制度が作られています。
新型コロナ感染による休業補償が給付されない保険は、補助金の対象になりません。
給付されることが条件になっているだけで、給付金額については指定がありません。
給付金額については、自由に設定することができます。
労災給付上乗せ補償保険とは?

そもそも、労災上乗せ保険とは、どのようなものなのでしょうか?
元々は、業務中のケガで、死亡、入院、通院した際に、強制保険である労災保険に上乗せして、事前に決めた金額を支払うという傷害(ケガの)保険でした。
今では、業務災害補償保険とも呼ばれるようになり、業務中のケガはもちろん、それによって法人や役員が訴えられてしまった場合を補償する使用者賠償責任補償特約が付けられるようになりました。
さらに、パワハラ・セクハラ、不当解雇等の労務トラブルに対応した雇用慣行賠償責任補償特約も付けられるようになりました。
特に使用者賠償責任補償の部分に関して、近年の労働関係法令の新設、改正により賠償金額が高額化しているので、法人には必須の保険になってきました。
コロナ禍での医療業務は、メンタルヘルスへの影響も非常に大きいと思います。
メンタルヘルスにも対応している保険でもあるので、コロナ禍の高ストレスでうつ症状になり、その責任が病院側にあったと訴えられてしまうケースも十分考えられます。
つまり、業務災害補償保険(労災上乗せ保険)は法人防衛のための保険です。
法人を守ることは、すなわち職員を守ることにつながります。
法人が潰れてしまっては、職員さんが路頭に迷うことになりますからね。
使用者賠償や雇用慣行賠償の観点から、医療機関にも必須の保険になってきています。
すでに、同種の保険に加入している医療機関も多いと思いますが、新型コロナの助成金に使える契約内容になっているでしょうか?
せっかく加入しているのだったら、補助金がもらえる保険の方がお得です。
また、最新の法人防衛が出来る保険になっているかどうかもチェックしてみてください。
なかなか自分では判断できないという場合には、問い合わせフォームまたは電話にてご相談ください。
すでに、労災上乗せ保険に加入している場合は、加入内容がわかる書類もご用意いただくとスムーズです。
医療機関向け補助金 新型コロナ対応労災上乗せ保険 まとめ
今回は、医療機関向けの新型コロナに対応した労災上乗せ保険を紹介しました。
対象の医療機関、対象の医療資格者等、対象の保険があるとこをお伝えしました。
対象になる保険については、ご自身で判断することは難しいと思いますので、お問い合わせください。
労災上乗せ保険は、法律の新設、改正によって、法人防衛に必要な保険になってきています。
職員を守る、法人を守る、両方の観点から、医療機関に必須の保険です。
補助金が使えるこの時期に、ぜひ見直しをしましょう。
対象になっていない医療機関でも、新型コロナウイルスに対応した労災上乗せ保険に加入することはできるので、職員さんが安心して働ける環境づくりに役立ててください。
私たちは、コロナ禍で戦う医療従事者の皆さんを応援しています。
気になる方は問い合わせフォームか、お電話にてご連絡ください。
※新型コロナ関連の情報は、短期間で更新される可能性があるため、厚生労働省のホームページ等で最新の情報をチェックして活用してください。